
岩亀〈がんき〉楼並ニ異客之図
作者名豊国(Ⅲ代)・貞秀
時期万延元年11月(11,1860)
- 横浜港、港崎〈みよざき〉町(現在の横浜公園)にある、一番人気のあった岩亀楼の内部を、三代豊国とその門弟貞秀が描いたもので、めずらしい師弟の合作である。師が描いたのは前の人物だけで、全体は貞秀が描いたものである。
- 岩亀楼は佐吉の品川の店、岩槻〈がんき〉の屋号をとったもので、異人屋敷もあり、特に舞台があって、子供(むすめ)手踊りを名物とし、そのうち「一番当り」は胡蝶の舞で、源氏物語廿四帖、背に蝶羽を負い、天冠に山吹の花をさして舞うもので、「蝶小蝶花港崎」と題した。一幕一両二分、一日五幕の開演だったというから、いかに町民は勿論、異人にも好評だったかがわかる。
- この絵での見ものは、シャンデリアである。勿論、異国のもので、人々は驚奇絶妙の目で眺めたことであろう。右の方には異人客3人、左端、窓ごしに南京人が見える。